2016年

4月

05日

オスロ市が目指す自転車乗りのための街づくり。なぜ批判が続出?今度は、電動自転車サポートが標的に

自転車乗りのためのよりよい街づくりを目指すオスロ Photo: Asaki Abumi
自転車乗りのためのよりよい街づくりを目指すオスロ Photo: Asaki Abumi

緑の環境党が表にでると、批判されてしまう環境政策

 

緑の政策改革が進むオスロ。排気ガスを出す車は未来的ではないとして、今後は中心部をカーフリーにし、自転車の利用者数増加を目標にしている。市議会に座る緑の環境党は、緑政策において大きな影響力をもつ。

 

環境・交通通信局長のラン・マリエ・ヌイェン・ベルグ氏の目標のひとつは、電動自「転」車の利用者を増やすことだ。

 

2015年12月に、オスロ市は約6千600万円を試験計画に投資。1人につき、購入価格の20%、最高約7万円(5000ノルウェークローネ)を補助することを発表した。

 

支持率が下落中の緑の環境党。党の色合いが濃いためか、補助制度は大きな批判を呼んだ。

 

ハフィントンポスト「オスロは「電動自転車」の街へ。購入者には市が最高約7万円プレゼント!

 

もし、反対勢力・進歩党の交通大臣がこれを」提案していたら、ここまで批判はなかったかもしれない。政策の「顔」が誰か、どの政党かでも、人々の反応は異なるのだ。

 

結果、補助制度には応募者が殺到し、1019人もが電動自転車を購入。しかし、5日のダーグブラーデ紙の報道で、またもやベルグ氏は批判を浴びる。購入者の一部が、有名な金持ちだったためだ。反対勢力である保守党のスタング前市長も、そのうちの一人だ。

 

「補助金がなくとも、自分たちの富で購入できただろう」と嫌がる人もいる。平等先進国ノルウェーは、金持ちが得をする社会を好まない傾向にある。

 

右寄りの電子版新聞ネットアヴィーセンの編集者スタヴルム氏は、緑の環境党や労働党に日頃から批判的だ。制度の効果を体験するためだけに、応募して補助金を得ていた。

 

「メール一つ送るだけで受理された。やはり、この制度は愚かとしか言いようがない」と同編集者は各報道機関に語る。彼は、市民の税金である補助金は使わず、電動自転車も購入しないそうだ。彼の代わりに、制度を利用できた市民が1人いたであろう。

 

お金持ちも貧しい人も、誰もが利用できる制度。環境対策には誰もが参加するべき  

 

国営放送局の討論で、ベルグ氏は「これは環境政策であり、お金持ちか貧乏かは関係なく利用できる制度だ」と反論した。同氏は、これをきっかけに、自「動」車から下りて、自「転」車に乗ることを選ぶ人が増えればよいとする。

 

これまでの批判には、「なぜ、普通の自転車には補助制度がないのか」とする意見もあった。ベルグ氏は、「電動自転車は高価すぎて、購入の決定に背中を後押しする制度が必要。電動自転車ならば体力を使わず、汗をかかずに移動でき、子どもの送迎にも便利」と反論していた。

 

「6千600万円を、幼稚園制度などに投入できただろう」とする意見もあるが、緑の環境党が権力を持つということは、税金が、環境政策と自転車乗りにより優遇されるということだ。

 

また、ベルグ氏は、「購入者は、電動自動車をこれから何年も使用するだろう。長期的な観点では、その人は長くエコな生活に貢献することになる」と、短期的な視点で「税金の無駄遣い」だとするのは違うと以前から反論していた。

 

なにをしても、今は批判されがちな緑の環境党。

 

税金がどう使われるかは、人によって考えが異なる。今回のサポート制度はまさにその一例だ。市議会行政府は、データ結果を見直し、今後制度を再度導入するか検討予定としている。

 

 

Photo&Text: Asaki Abumi